
浅間山の麓に響く工芸の足音――手仕事と出会う「gallery fumoto」

「大切な人との時間に寄り添い、受け継がれていく作品を届ける場所でありたい」——gallery fumotoでは国内外で活躍する工芸作家・職人による手仕事の数々を紹介しています。手に取れば感じられる独自の表情、日々の暮らしにそっと溶け込みつつも、ふとした瞬間に心をとらえる美しさ。本記事では、ギャラリーに展示されている作家と作品の一部をご紹介いたします。

静かに移りゆく季節を背景に、浅間山の麓に新たな工芸の息吹をもたらす場所「gallery fumoto」。
東京・代官山でアートギャラリー「gallery ON THE HILL」を運営する一般社団法人オンザヒルが、2022年10月、長野県北佐久郡御代田町の複合施設MMoP内にオープンした新たな拠点です。
この「fumoto」という名には、浅間山のすそ野に広がる御代田の「麓」と、ここを訪れるお客様の楽しい⾜取りの⾳⾊「踏む音」の二つの意味がこめられています。名付けとロゴのデザインを手掛けたのは「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」のデザイナー・皆川明さん。⼈と⼈がこの場所で出会い、⼯芸作家や職⼈の⼿技に触れる喜びを感じていただけるようなギャラリーを目指しています。
minä perhonen(ミナ ペルホネン)
ハンドドローイングを中心とするテキスタイルデザインを軸に、衣服を始め、家具や器、店舗や宿の空間ディレクションなど、日常に寄り添う活動を行うブランド。minä perhonenの四角いロゴの枠が「人」を、手描きの小さな粒は「さまざまな個性」を表現。個性から生まれるアイデアや工夫、手の技を大切にし、つくる人、使う人の両方に喜びをもたらす作品を作り続けています。



ハタノワタル(⿊谷和紙作家)
京都・綾部市に平家の時代から800年以上も息づく「黒谷和紙」の伝統を守りながら、新たな可能性を追求する和紙作家。紙漉きの工芸領域を越え、空間デザインやアート作品の制作へと活動を広げています。しなやかで、奥行きのある質感がもたらす独特の存在感は、紙という素材の新たな一面を見せてくれます。



谷口 嘉(Taniguchi Yoshimi/ガラス作家)
オリジナルの型を用い、焼き物やガラスの性質を巧みに組み合わせることで生まれる作品の数々。見た目のクールさと、丁寧に施された手仕事のあたたかみが融合し、静かで力強い独特の存在感を放ちます。


竹俣 勇壱(Takemata Yuichi/金工作家)
ジュエリーのオーダーメイドから始まり、カトラリーや茶道具など、日常の道具としての金属工芸を手掛けます。伝統工芸が持つ「敷居の高さ」を感じさせず、暮らしに寄り添うデザインを作り続けているのが魅力です。

金網つじ(京金網)
平安時代までさかのぼるとされる京金網の技術を、現代の生活の中に柔らかく溶け込ませた商品を展開。「手編み・網の加工・曲げ」と3つのワークスタイルから作られる商品は、使いやすさもさることながら、「見た目の美しさ」にも重きを置いています。細い銅やステンレスをひと目ひと目編んで生まれる金網は、繊細でありながらどこか凛とした「脇役の品格」があり、日本の伝統的な職人技の奥深さを物語ります。


玉川堂(Gyokusendo/鎚起銅器)
1816年創業、新潟県燕市の金属加工業の中でも唯一、1枚の銅板を鎚でたたき起こして銅器を制作する「 鎚起銅器」の伝統技術を二百年弱にわたって継承している老舗。銅に多彩な着色を施す技術は、世界でも玉川堂のみが保有しており、文化庁と新潟県より無形文化財にも認定されています。2010年には玉川堂5代目の次男・玉川宣夫が、人間国宝(重要無形文化財保持者)にも定められました。仏日の高級レストラン等で使用されるなど、日本の伝統工芸老舗企業としては稀な世界的ブランド認知の高さを誇っています。




gallery fumotoで扱う作品には、作家や職人の息づかいが詰まっています。ご家族やご友人と足を運べば、浅間山の雄大な風景と相まって、心落ち着くひとときを味わっていただけるはずです。
「麓」に広がる静寂のなかで、「踏む音」が響くような感動を見つけられる場所——gallery fumotoで、皆様も新たな発見と出会ってみてはいかがでしょうか。
HP:https://www.galleryfumoto.com/
Instagram:https://www.instagram.com/galleryfumoto/